Temple Morning

テンプルモーニング​とは?

●早起きとお経とお寺の掃除

 お寺のお掃除——竹箒で境内を掃いたり、長い廊下を雑巾掛けするお坊さんの姿をイメージされるかもしれません。実際、僧堂の修行僧は一日のかなりの時間を掃除に費やしています。また、町のお寺のお坊さんにとっても、朝夕のお勤めと掃除を含む作務は普段の生活の基本です。

 Temple Morning(テンプルモーニング)はその「お寺の朝の習慣」をお坊さんと「わたし」たち、みんなで共有する場です。内容や時間帯や開催ペースはお寺によって様々。いつもより少し早起きをしてお寺に行き、朝から大きな声を出して慣れないお経を読み、そこで出会う人たちとゆるやかなコミュニケーションをとり、箒を動かす——心と体をフル活用する豊かな時間です。

 

●いましめではなく、人柄?

 初期の仏教教団にはインド中に散らばった修行者たちが、ひと月に2度、新月と満月の日に集まる「布薩(ウポーサタ)」という反省会がありました。そこで「戒を守っているか」お互いに確かめ合ったのです。

 その守るべき「戒」とはなんでしょう? 破れば罰をうける「いましめ=縛り」でしょうか?

 

 仏道の基本に「戒定慧(かい・じょう・え)」という言葉があります。

「戒」は戒律、簡単に言えば生活を整え良き習慣を身につけること。

「定」は集中力、すなわち心を制御して平静を保つこと。

「慧」は智慧、究極的には覚り。身近な言葉で言えば自己と世界を正しく見ること。

 

 この智慧へ向かうステップの大本にある「戒」は、もともとパーリ語の「シーラ」で「習慣」「しつけ」「人柄」といった意味があるそうです。良き習慣は人柄に反映され、結局は自分を形づくり守ってくれるものになる——それが「戒」。タイ仏教の日本人僧侶プラユキ・ナラテボー師は「戒を守るのではない。戒に守られるのです」とおっしゃいます。

 

●「布薩」と「戒」がうみだすもの

 仏道の目的が「自他の抜苦与楽(ばっくよらく)」だとするなら、自己も他者もそして世界も苦しむことなく、そして将来に苦しみが生まれる種を蒔くこともない、そのような習慣を身につけ保つことが、仏道の始まりになります。良き習慣を身につけることは、決して依存や思考停止に陥ることではなく、どんな状況に置かれても自分の頭で考えて、自分の足で歩んでいける自律性を身につけること、そしてそのような歩みを共にできる仲間を持つことなのです。

 Temple Morningには、宗教宗派を問わず、どんな方でもご参加いただけます。様々な縁でお寺に集う方が、共にお経を読んで掃除をして、人とコミュニケーションするTemple Morningは、他者との関わりの中で萎縮したり攻撃的になったりしてしまいがちな「わたし」たちにとっての布薩です。掃除の後は、そうありたい自分とできない自分の存在を認めて、励ます場 (reflection & empowerment)にもなります。そして「自己を振り返り、自分以外の他者の体験についても自分ごととして振り返る」ことで、良き習慣とそれを共有するコミュニティがうまれるのです。

 

●仏教は良き習慣づくりの教え

 新月と満月の布薩の時代から続く「戒=良き習慣」のなかで、今のわたしたちの生活にも通じるのは、生きものを殺さない不殺生、盗まない不偸盗、嘘をつかない不妄語、淫らな行為をしない不邪婬、飲酒をしない不飲酒の「五戒」。

 このような良き習慣を実践する上で大切なのは、守れないからと諦めたり開き直ったりせず、完璧でなくても「自分が今できることをやってみる」と心がけること。続けることでいつか見えてくるものがあります。この「戒」を学びの基礎に据える仏教は、「良き習慣づくりの教え」と言えるのかもしれません。

 

 まずはふと、タイミングのあった早朝に。お寺のお掃除をしてみませんか?

Temple Morning

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