松本紹圭上人がニューヨーク出張の際に取材された記事が「NY Magazine」の「The Strategist」に掲載されました。
「こんまり」ブームもあって、「自分の家、身の周りを自分で掃除する」ということへの意識が高まっているアメリカの人たちへ、「掃除を習慣化していくためのきっかけ」として「道具」という切り口で答えています。
記事はこちらから(英文)
Temple Morning事務局で翻訳した記事を以下でご紹介します。
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日本人僧侶が「整える」ために使う11のモノ

日本人僧侶の松本紹圭さん(「お坊さんが教えるこころが整う掃除の本」の著者)は、東京・神谷町のお寺にいる時には、2時間ほど掃除をします。
「雨が降っている時は」彼は言います。「仏具を磨くのです。晴れていれば境内を掃いて、落ち葉を集めます」
東京でも地方でも、僧侶たちは近代的な器具――掃除機さらにはルンバ――をつかっていますが、松本さんは天然素材で作られた道具がお気に入りだと言います。「シンプルな生活の象徴」であり、僧侶にも、そうでない人にも、使い勝手のいいモノをご紹介しましょう。
屋外掃除用ツール
「僧侶としての生活を始めた時には、掃除の重要性を充分には理解していませんでした。僧侶は学校やお寺を、本当にキレイに保つために懸命に掃除をします。日本の仏教では、外の世界と内なる世界を分けることをしないのです」
1(中庭用の箒)

「室内を掃除するのに、屋外用の箒は絶対に使わないでください。靴を履いたまま家の中に入るのと同じように箒も汚れているのです。屋外用の場合、ブラシ部分には大きさと、落ち葉やタバコの吸い殻を石畳から掃き取るのに充分な硬さが必要です。柔らかいとうまく掃き取ることができないかもしれません」
2(庭用の箒)

「この箒は、掃除をする時に瞑想的で素敵な音を響かせます。日本では公共の歩道や近所の公園、庭園など、自分の敷地の周りも掃除することが普通に行われています」
室内清掃用ツール
3(床用箒)

「室内を掃除するための箒は、ブラシが柔らかくて小さくなければなりません。日本の住宅には畳がある場合もあり、硬い毛では表面を傷つけてしまいます。それに室内には大きなゴミがないので、柔らかいブラシで問題ないのです」
4(ちりとり)

このちりとりは、ロサンゼルスを拠点とする「RT1home」によって竹と和紙で作られています。
「美しいけれど装飾的ですね。機能的で効率的、高度な職人技です」と言う松本さん。「私の経験では、このような良いものを使って掃除をすると、瞑想的で儀式的になります」
5(卓上用箒)

「これで散らかったテーブルの上をキレイにします。チリトリはテーブルの上ではなく、縁に充てがってブラシで掃き集めたものを受け止めます」
6(布巾)

「これは、食事の前にテーブルをキレイにしたり、こぼれたものやほこりを拭き取るための一般的なキッチンタオルです。一晩放置すると雑菌が繁殖してしまうので、毎日洗いたてのものを使用しています」
7(スクラブブラシ)

「亀の子たわしは、日本でとてもよく使われる掃除道具の一つです。毛が非常に硬くて、木材やガラスを傷つけてしまうので、テーブルではなく汚れた鍋やボウルをこすり洗いするのに使います。たわしはとても使い勝手がよく、室内だけでなく室外用として、車のホイールキャップのような金属製品を磨いたりもします。トイレ掃除に使う人もいますよ」
8(羽箒)

「羽箒は、最も柔らかい掃除道具ですね。日本の家によくある、仏壇のようなとてもデリケートな場所のためのものです」
掃除用の服
9(作務衣)

「掃除のための服に着替えることは、習慣として意識化していくのに役立ちます。作務衣は僧侶の作業服ですが、掃除だけでなく普段の生活にも適しています。作務衣を着ることで、心と気分を――半ば強制的に――切り替えることができるのです。私はいつも3着を着まわしています。スティーブ・ジョブズの黒いタートルネックのようにね」
10(足袋)

「僧侶は毎日、多大なエネルギーをそそいで掃除をしているので、白い足袋を履いていても汚れることはありません。室内では時々裸足でいますが、仏像の周りのような聖なる空間を掃除する時には、足袋を履きます」
11(雪駄)

「雪駄は靴とみなされるので、屋外用です。わたしは庭を掃除する時に履いています。雪駄は足にとてもフィットするので、日本の僧侶の中には、これを履いて一日で平均25マイルも山の中を走ったり歩いたりする修行をする人もいるのです」
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あらためて、なにかを始めてみようと思う時に、道具から入るというのも大切な「マインドセット」なのだなと思える記事でした。
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